ホーム>立川市子ども未来センター>設計者の想い
現在の建物は昭和43年に市役所の第2庁舎として生まれた建物です。人間の年齢で今年45歳となります。もともと7階建ての建物の土台として作られたこの建物は、まだまだ使えることがわかり、今回子ども未来センターとしてリノベーションされました。
昔の建物の良さを生かしつつ、新しいテラスをつくり、吹抜を作ることで新しい価値のある建物に生まれ変わりました。高い天井や、Rの付いた壁、外壁の風合い、木製の軒天など昔の建物の名残です。この建物は、さまざまな世代の人に使われることになると思います。古さと新しさが共存するこの建物で、さまざまな世代の人たちが生き生きと交流し笑顔になっていくことを願っています。
廊下
廊下の壁に曲面のところがあると思います。コンクリートでできたこの壁はこの建物が市役所だった時の形状をそのまま残しています。
また、廊下の壁のところどころに凹んだ部分があると思います。ここには市役所であった当時のスイッチや設備盤といったものが不要となったので、それを取り除いた跡です。この建物はそうした旧市役所の痕跡を残したままとしています。凹みに絵を貼れば立派な額縁代わりにもなるし、花を飾ってもいいし、その痕跡を手掛かりに利用者の方が工夫をしてこの建物を楽しくしていってほしいと考えています。
天井
市民協働事務室をはじめ天井は既存躯体を表した仕上げとしています。普通の建物は平らな天井材で、いろいろな配線や配管を隠していますが、この建物では、そうしたきれいに繕うことをしていません。その代わりに、高い天井が確保でき、皆さんがこれから使っていくうえで、いろいろなものを付け足したり削ったりすることができます。少し賑やかな天井の下で、みなさんの賑やかな活動が繰り広げられることを願っています。
外壁
市役所の外壁はコンクリートでできています。ただよくその表面を見てみてください。コンクリートなのに木目が見えると思います。コンクリートはセメントと砂を型枠にいれて固めたものなのですが、昔のいい型枠は木目のあるいい材木でできていたので、その木目がコンクリートに写り込んだものなのです。今回の改修では、この木目を消さないように、半透明の表面保護材を使用して、コンクリートではあるもののその優しい肌合いを残しています。
吹抜
この建物は市役所の第二庁舎でした。その建物の二階の床と屋上の床に穴をあけて作ったのがこの吹抜です。外部に大きなテラスができたので暗くなりがちな内部に光が差し込んでくれます。夏は少し暑いかもしれませんが、みんなで気に入ったカーテンをかけやすいように、トップライトではなくハイサイドライトになっています。季節に応じた日の入り方を楽しんでもらえればと思います。
廊下の角
廊下の角はRになっています。これは昔からの姿をそのまま残しています。Rのコンクリートは作るのが大変なので、現在の建物ではあまり見られなくなっていますが、出合いがしらでぶつかることがなかったり、光の当たり方がきれいだったりするので(実はそういう位置に照明を配置!)わざわざこのR形状を残すように計画しています。
サイン
この建物のサイン計画は、まんがを表現する「吹き出し」とこどもをあらわす「まる」そしてそれらをつなぐ「笑顔」がテーマとなっています。子ども未来センターにはいろいろな機能が含まれているので、その機能は色で分かれています。いろいろな目的の人が集まるところは、いろいろな色が床に現れてきます。こうしたいろいろな色であらわされた場所や人があつまって、全体のマークのモチーフであるみんなの巣となっているのです。
スタジオの外
スタジオはもともと機械室であった場所です。多目的な利用を考慮して天井が高く、外光が入るこの場所をスタジオとしています。外部のドライエリアは昔機械を搬出入するためのものでしたが、今は地下に貴重な光を差し入れてくれます。
テラス
広場とたてものをつなぐ大きな二階建てのテラス。広場が観客席とかんがえると、テラスは劇場の舞台となります。広場が舞台と考えると逆にテラスは観客席になるかもしれません。幕を垂らせば映画館になるかもしれないし、皆さんのアイデアでいろいろな使い方がされることを願っています。
外構の植物(さくら)
花畑の際に小さい桜を植えてあります。あまりにも小さくて木なのかわからないかもしれません。こればこのセンターが生まれたのと同じ年です。桜と一緒にこのセンターが育っていき、花を咲かせるとうれしいことです。是非皆さんで見守って育ててください。
広場の真ん中の木
この二本の木は市役所のころから植わっている木をそのまま残したものです。木の種類はセンターから見て左側がケヤキ、右側がコブシです。このセンターのシンボルとなる木でもありますので大切に見守ってください。
植栽
広場を含め子ども未来センターにはいろいろな植栽が植えてあります。植物名の札はついていません。植物に詳しいおじいさんが子供に教えている姿を想像して計画してあります。
設計:清水建設